83年世代えいすけのしゃべり場

「NHK奇跡のレッスン」の最強コーチ、「日本人トップアスリート(大谷翔平・錦織圭)」の言葉を、250人以上の管理職をコーチングしてきた経験から分析します。

1/2(水)BS1スペシャル「激白!西野朗×岡田武史~サムライブルーの未来~」を見て

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W杯を経験したことのある日本人監督、西野朗×岡田武史の対談は必見!

年末年始は、スポーツ番組の特番が多いがその中でも非常に楽しみにしていた回。岡田さんはFC今治の監督も務めたりメディア露出も多く考えを知る機会は多かったが、西野さんの考えを知る機会がなかなかなかった。

そのような中、早稲田大学の先輩後輩(西野さんの方が1歳上)である2人が昨年のW杯の戦い方・日本代表の監督論・アジア杯について熱く語っている貴重な番組がこちら。2人が話していた言葉を抜粋していこうと思う。

個人的には、コロンビア戦のハーフタイムでのロッカーでの会話がとても興味深かった。見逃した方も見た方もどうぞご覧ください。

西野朗×岡田武史のプロフィール

2人はかつて同じ大学でプレー。西野朗さんは63歳。J1監督通算270勝(史上最多)をあげ、1996アトランタ五輪の監督、そして今回のW杯日本代表監督を務めました。
岡田武史さんは62歳。1998年、2010年のW杯日本代表監督です。W杯を経験した日本人監督は西野さんと岡田さんの2人だけ。


W杯開幕直前!監督交代の真相

岡田「あの時点では、ここで代えるより、ハリルで行っちゃった方がいいぐらいには思っていた」
西野「ハリルホジッチがああいう形になって…一心同体だと思っているからね僕は(技技術委員長を務めていた)。それがああいう形になってしまったんで、本当に責任をものすごく感じたし、とにかくW杯イヤーでこれだけサッカー界が盛り上がってない年っていうのはないんじゃないかなって思うぐらいな感じだったんで、何とか好転させたい、イメージを一変させたいっていう思いだけだった」

西野「多分3月30日だと思いますよ…少し潜伏してくれって言われて」
岡田「潜伏…?笑」
西野「身を隠してくれって。都内のホテル」
西野「自分の誕生日(4月7日)もあったからね。1人でルームサービス取って。こもってたよ」
岡田「それはなんでなの?」
西野「マスコミに少しなんか…(次期監督の有力候補としてマスコミの)何人かリストに挙げられているうちの1人にあったから。ただ、技術委員長だからね、私。それはそれで複雑でしたよ。出た方がいいんじゃないかって。」


代表選手25人の選手を決める時 ~本田にスタメンから外すことを宣言~

日本サッカー協会は4月9日午後に緊急会見を開き、ハリルホジッチ監督の解任と西野新監督の就任を発表。
岡田「ハリルの時あんまり使われてなかった圭佑(本田)とか真司(香川)とか、よっしゃーと多分思っただろうね(笑)オレにも電話かかってきたけど。そのへんの年代のやつら中心にやろうっていうのはだいたい決めてたの?」
西野「今回、状態が必ずしも良くなかった選手を、経験値も含め彼らのそういう思いも確信して、絶対にこのW杯でやれるっていう。選んだ時には5、6人がケガ人でね。その前に欧州に行って個人面談してきて、そういう中でも試合に出てない、何カ月出てない、ケガをしている…。岡崎のこんな膨れ上がった足首が元通りに戻ってピッチに立てるかっていう賭けもあった」
岡田「それがすごいな。だって試合ず~っとやってないヤツが結構いたじゃん」


西野「圭佑にも香川にも岡ちゃんにも…みんな制限したね。時間の中ではやれるよ、でも制限するっていうのはハッキリ伝えなきゃいけなかったんだよね。圭佑に対しても。やっぱりスタートメンバーじゃないよと言った。」
岡田「なるほど。すごいな。やっぱり西さんが選手のころにね、ちょっとぐらい試合離れてもセンスあるからできたでしょ?オレみたいに努力型だとね、ちょっと試合離れると試合勘なくなるわけよ。オレだったら分からないもんね、その心境が。さすがプリンスだよ」

岡田「西野さんはとにかく粘り強い!すごいなと思う。僕がやっていたら勝てなかった。自分とは全然違うタイプだけど尊敬してますよ。僕がやったら多分この大会勝てなかったと思う。西さんじゃないと勝てなかったと思う」

 

コロンビア戦 ~W杯初戦ハーフタイムでの会話~

西野「前日の21時を回ってもまだ選手が個別に話し合っていた。ネガティブになっている部分があった。ハメスロドリゲスをどう抑えるか?FKは壁は飛ぶ飛ばない?など。前日なのにやっている。」

西野「当日になったら、そうじゃない!ということをどんどん出さないとと思った。モチベーションビデオ使ったり。バスに乗りこむ前に見せた。一瞬、立てなかったやつもいたぐらい。いきなりトップギアに入れる必要があったので押してあげたいと思うから。」

西野「岡ちゃんもそうだと思うんだけど、初戦の相手がどう出てくるかって強豪であればあるほど、トップギアに入れてこないだろうってのがあって。自分たちが主導でコントロールできるんじゃないか。それがW杯の初戦だなと思っていた。」

西野「試合開始3分でアドバンテージ(PK)はたまたまじゃない。全員がプロアクティブに動いた結果。」

岡田:PKキッカーは決めてた?
西野:何人かは決めていた。本人が自分で取ったからといっていた。
岡田:これで真司は生き返ったよね、正直言って。
西野:そうだね。真司は短い間でゲーム感覚を取り戻した。

西野:(1失点した場面について)キンテーロは下を通してくるのは分かっているんだけど、あれほど飛ばないって前に言っていたのに・・・。
西野:ハーフタイムでスタートメンバーは喋らなかった。バックアッパーたちはいいよいいよ、このままで良いよ、最悪1ポイントでいいんだという意見が多かった。恐らく、コロンビアが後半ガッとくるのがわかっているのだと思う。数的には少なくてもコロンビアが怖かったのだと思う。そういう雰囲気になっていた。
俺はそれを一蹴したかった。これは勝てる試合だと。勝たないといけないと思っていた。なので、「これは勝たないといけないゲームで勝てるぞ!」といった。
岡田:そっかぁ、そうなっちゃうんだ・・・。

 

セネガル戦 ~自ら仕掛けることの重要性~

西野:1戦目に「オフサイドトラップをやる」といっていたのにやんなかったから。
こういうのは間接FKをもらうという効果だけじゃない。
岡田:相手にこんなことするんだ!という影響があるよね
西野:そう、またこういうことやるのかという。
岡田:このチームは何かするかもしれないと思わせるのは大事なことだよね。相手が動いたあとではなく、こっちから仕掛けるのは。


ポーランド戦 ~逃げの10分の真相とは~

岡田:さあ、いよいよお待ちかねのポーランド戦。言いたいこともあるでしょ?いろいろ言いたいこと言われたりして。
西野:それはやっぱりもちろんね。負けを認めた上での戦いをさせてたっていう…」

岡田:あの10分をどこで決断したのか?
西野:まず0―1の状況の中で、このままとは当然思わないですし。同点に追いつくための戦略、メンバーチェンジっていうことがよぎっているし。猶予はないと思っているので。バックアップの本田はあのシリーズの切り札だったんで、彼を強くアップさせる中で、状況がパンっと。他会場が動いたっていう…。手倉森コーチから状況を知らされた。
西野:ただ、最終的に決めたのは、直前でレバンドフスキに決定的なチャンスが生まれたのをみて決断した。2点目を取られてしまうことがよぎった。


西野:自チームが同点に追いつける/取り付けるかどうか。と相手の攻撃力も見る中、「苦しいけど、負けてる中だけど逃げる」ことを選んだ。選手たちがワンプレー、ワンプレー、30秒、1分ごとに、長友が聞いたり、乾が聞いたり、ハセ(主将の長谷部)が“これでいいんですか?これでいいんですか?”って。槙野が来たり。“これでいいんだ、これでいいんだ”ってもうそれだけピッチにメッセージで送るだけだったんで」

西野:選手たちがすごいブーイングの中で10分間ボールを動かすっていうことをどういう心境でね…
岡田:選手達はたくましくなったよね。なんか言うヤツいんの?
西野:選手は「、監督謝る必要ないですよ、僕ら監督の指示にしっかり従ってこういう戦いをやったし…勝ち上がれたことが大正解ですよって(選手が言っていた)」

岡田:その通りだと思うよ。僕らの仕事っていうのはある意味答えのないことを決断することでね。ギャンブルと一緒なんですよね。ギャンブルっていうのは勝つか負けるかだけで、どっちが正しいか間違いかじゃないんですよ。負けた人に限って、正しいのはこういう手のはずなんだとかって言うんだよね。だから正しいか間違いかじゃない。西野さんはあの場にいて、決めるのは直感で決めるわけだから、何かを感じてああやって決めて、結果勝ったんだ。それがすべて。

ベルギー戦 ~2点リードからの敗戦~

西野:2-0になって、ベルギーはかなりガクッときていた。2点リードしたあのときがポイントだった。長谷部から「どうしますか?」と聞かれたとき、「このままでいんだ」としか言わなかったのは今になって思えば後悔。岡ちゃんなら、どうする?
岡田:俺でもそのままでいいと言うよ。ただ、これから同じ状況になった時にベルギー戦のことはよぎる。
西野:ハイプレスでいくんだ5分とか、全体を攻撃/守備どっちかに置いた方が良かったんだろうなと思った。もしかしたら、このまま本気のベルギーは出てこないのかなと思ってしまった。

 

日本人監督への継承

西野:次の代表監督は日本人で、というのは技術委員会の中で決めていた。リストにあがる日本人監督も何人かいたし。

岡田:すごい不思議だったのは98年のあと、2010年のあと、誰も自分に聞きに来なかった。必ず後任が外人だったので前任否定・・・から始まり、今までは断続していた。
今回、森保一で初めて継承されていく感じがする。
西野:毎回、W杯は日本人監督だと経験していないとい言われるけど、経験しないと生まれないから。


西野:自分が16シーズン、Jリーグの監督をやっていて、「なんで自分は呼ばれないの?」と思っていた。ブラジルやヨーロッパから連れてくるけど、それほど・・・。
やはり、日本人監督でW杯でベスト4や決勝にいくような指導者がいれば素晴らしい。
岡田:海外で日本人指導者が成功するのは難しいが、選手として海外で成功した長谷部や中田が指導者としてやるのが最初なのかなと思う。

2019年アジア杯 ~西野と岡田で意見分かれる!?~

西野:絶対、勝たないとダメ。
岡田:苦戦するのではないかと思っている。苦戦した方がいいと思っている。結果がどうこうではないと思っている
西:勝たないとダメだと思う。チーム力は断トツあると思う。

えいすけの所感

今まで、W杯を経験したことのある日本人は岡田武史だけだった。それがこうやって、テレビ番組ではあるものの経験者として対談ができるようになっているのは、指導者選手だけではなく、サッカーファンである私のような人にも良い教養になるなと思った。

西野さんが言っていた「選手には海外にいけ。もっと上を目指せ」と言っているのに、指導者が海外や上(代表監督)を目指さないのは違うだろう、というのがとても耳にに残った。選手だけなく、指導者も成長していくことがこれからのスポーツの発展には不可欠だなと感じる。ともかく、森保監督と1/9に初戦を迎えるアジア杯がより楽しみになった。